FRAUD INVESTIGATION
内部通報や不正の兆候を起点とする特定目的調査
対象者、取引、期間、論点を絞り、証拠を保全しながら事実関係を確認します。
不正調査は、内部通報、異常取引、原因不明の差異、取引先との不自然な関係など、具体的な兆候を受けて開始することが一般的です。ここでは本社チームと調査目的・報告先・役割を共有し、証拠保全やインタビューを行います。法務・労務対応が重要となるため、弁護士とも共同で対応します。
具体的な兆候はないものの、現地の状況が見えず漠然とした不安がある場合は、30項目の不正リスク診断セルフチェックを使って、追加確認が必要な領域を整理できます。
不正の兆候が判明する主なきっかけ
内部通報・関係者からの申告
内部通報窓口、本社・監査役・上司への申告、退職者や取引先からの情報提供をきっかけに、キックバック、架空取引、資産の持出し等の疑いが明らかになるケースです。
異常取引・数値の不整合
月次決算、予実比較、在庫差異、銀行入出金、仕訳・発票の分析等から、通常では説明しにくい取引、価格、資金移動又は数値の変動が見つかるケースです。
内部監査・セルフチェックでの発見
内部監査のサンプル確認や不正リスク診断セルフチェックを通じて、承認記録の欠落、証憑の後付け、重複支払、権限集中などの例外が見つかるケースです。
取引先審査・外部情報による発見
企業登記、株主・法定代表者、住所・電話番号、公開情報等の確認から、役職員や親族との関係、実態が不明な取引先、利益相反の疑いが判明するケースです。
重視するポイントを踏まえた不正調査の進め方
初期評価・報告体制
通報や兆候の内容と緊急性を確認し、本社の調査責任者、報告先、情報共有の範囲を定めます。必要に応じて弁護士との役割分担も決めます。
証拠保全・調査設計
対象者へ接触する前に、会計データ、銀行明細、メール、チャット等を保全します。対象者、期間、取引、仮説、質問及びインタビュー順序を設計します。
分析・インタビュー
人物・会社・取引・資金の関係を整理し、資料間の整合性を確認します。その結果を踏まえ、情報共有を限定しながら順序を定めて聞き取りを行います。
報告・対応方針
確認された事実、証拠力、影響、発生原因及び対応案を報告します。人事・法務・労務上の措置は、弁護士等と適法性を確認して決定します。
調査で作成・整理する主な成果物
収集した情報を個別に並べるだけでなく、証拠力、人物・会社・取引の関係、時間軸、資金移動及び発生原因を相互に結び付け、次の判断に使える形へ整理します。
証拠力の整理表
内部通報、録音、伝聞、帳簿、原始証憑、電子記録、第三者回答を証拠の客観性と強度に応じて区分し、複数資料間の整合性を確認します。
人物・会社の関係図
対象者、役職員、親族、取引先、株主、法定代表者等の関係を図式化し、登記情報や取引履歴と照合します。
取引の時系列表
取引開始、見積り、契約、発注、納品、請求、支払及び関係者の動きを時系列に並べ、不整合や説明が必要な時点を明らかにします。
資金フロー図
適法に取得した資料に基づき、対象期間の入出金を相手先別に整理し、口座間振替、給与、借入・返済等を区分して、資金移動の全体像を図式化します。
確認された事実、未確認事項、合理的な代替説明、財務・税務・業務上の影響、発生原因及び対応案を明示し、次のアクションを判断できる形で報告します。
不正調査の事例
CASE 01
購買担当者と仕入先の不自然な関係
きっかけ:内部通報により、特定仕入先への発注集中と高値購買の疑いが判明しました。
調査・対応:人物・会社の関係図、取引時系列及び価格・選定過程を整理し、仕入先との関係と承認手続の問題を確認。取引の見直し、関係者への対応及び購買統制の改善につなげました。
CASE 02
在庫差異とスクラップ売却代金の不明
きっかけ:棚卸差異とスクラップ売却に関する入金記録の不足が見つかりました。
調査・対応:在庫移動、廃棄・売却手続及び入金の時系列と資金フローを整理。損失の範囲を確認し、現物管理、売却承認及び入金管理の改善につなげました。
CASE 03
役職員と取引先との利益相反
きっかけ:企業登記等の外部情報から、役職員の親族と取引先との関係が判明しました。
調査・対応:関係図、契約、取引条件、承認記録及び資金移動を確認し、利益相反と取引条件の妥当性を検討。契約の見直しと関連当事者管理の強化につなげました。
調査結果を踏まえた次のアクション
緊急対応・損失拡大の防止
対象取引や権限の一時停止、資産・データの保全、追加支払の停止、関係口座・在庫・印章等の確認を行います。
人事・取引先への対応
本人の説明と証拠を確認し、注意・勧告、減給等の懲戒、解雇、配置転換、取引条件や契約の見直し・解除を検討します。
法的措置・当局対応
損害賠償請求、民事訴訟、刑事通報・告発、当局報告等について、弁護士と証拠の十分性及び手続の適法性を確認します。
修正・再発防止・説明対応
会計・税務上の修正、権限・承認・モニタリングの改善、再発防止策の実施に加え、内部通報案件では通報者保護と回答方法を整理します。
すべての措置を一律に行うのではなく、損害、本人の説明、社内規程、中国の労務・法務上の手続及び事業への影響を踏まえ、人事担当者・弁護士等と対応方針を決定します。
漠然とした不安には、不正リスク診断セルフチェック
具体的な通報や対象取引がまだない段階では、直ちに調査を開始するのではなく、30項目の不正リスク診断セルフチェックを使って、追加確認が必要な領域を整理します。
主な確認領域
- 取引先との関係、価格・条件、利益相反
- 仕訳、発票、例外承認、資金移動
- 在庫、廃棄、スクラップ、固定資産
- 社印、銀行口座、USBキー等の権限
- 内部通報、説明の不一致、証拠の不足
チェック後の対応
チェック結果だけで不正を判断するものではありません。複数の兆候や重要な例外がある項目について、確認資料、対象取引、関係者及び追加手続を整理し、調査へ移行する必要性を検討します。
不正のトライアングルは、一般に「動機・プレッシャー」「機会」「正当化」の3要素で説明されます。チェックリストが主に確認するのは、統制の隙間によって生じる「機会」です。施錠されていない入口や割れた窓のように、不正を行いやすい環境が残っていないかを確認し、必要な統制を整えるために使用します。
調査後の改善を継続的に確認する場合
不正調査後の再発防止策や管理体制の改善を単発で終わらせず、現地で継続的に確認する方法として、社外監査役によるモニタリング支援もご提案できます。
CONTACT
不正の兆候を把握した段階から、初動対応を支援します
調査を開始すべきか判断できない段階でも、保全すべき情報、本社内の報告先、関係者への接触時期・方法、弁護士との役割分担を整理し、適切な初動対応をご提案します。